「なんかあの子空気読めないよね」
それは、日常生活において「普通」の人々には当たり前のように理解されることが難しい、発達障害の特性です。
空気が読めないという特性は、発達障害の一つとしてよく挙げられ、その名前通り、周囲の空気や人間関係の微妙なニュアンスを理解することが難しいとされています。
「空気が読めないって実際どんな感じなのか?」
筆者自身が発達障害を抱える一人として、そして筆者の娘が同様の課題に直面する中で、空気が読めない特性について深く探求していきたいと思います!
我が子が空気が読めないんじゃ?と悩んでいる親御さん。最初に言います。
いろいろ悩んだ結果、空気を読めない特性を完全に治すのは無理に近いんじゃないかと感じています。
でも!母子共に気持ちが楽になる、筆者が経験して思った落としどころについて、お話ししていきます!
発達障害とは何か・なぜ空気が読めない?
まず、発達障害には、いくつかの種類があり、その中で「空気が読めない」 特性が目立つのは主にADHD(注意欠陥多動性障害)とASD(自閉症スペクトラム障害)である場合が多いようです。
ADHDとASDにおける空気が読めない理由は異なりますが、それぞれに特有の特性が関係しています。
- ADHD(注意欠陥多動性障害)
- ADHDの方は、注意力や衝動のコントロールが困難とされる障害です。瞬間瞬間に興味を引くことがあり、そしてその衝動をコントロールすることが難しく、そのために周囲の変化や空気を見逃してしまう、自分の行動を制御することができないという特徴があります。また、衝動的な行動や発言が他人に誤解を与えることもあり、結果的に周囲に「空気が読めない」と思われてしまうのです。
- 自閉症スペクトラム障害(ASD):
- ASDの人々は、他者との社会的な相互作用やコミュニケーションにおいて、理解力や適切な反応が難しいと感じることがあります。非言語的なサインや微妙なニュアンスを理解することが苦手であり、周囲の空気を読むことが難しい障害です。
両方の障害に共通するのは、周囲の空気を読む能力における困難さがありますが、その理由はそれぞれの障害の特性によって異なります。
ADHDの筆者自身の特性は?
まず、筆者は発達障害(ADHD)ではあるのですが、人の気持ちを想像するのは得意だと自負しています。
学生時代の交友関係もわりと平和な方で、人間関係のトラブルが起きたことはほぼありません。
どちらかというと空気は読める方だと思います。
そのため、筆者は発達障害であっても「空気が読めない」という特性はないと考えます。
大人になって自分のコミュ力の低さに気が付きましたが。
娘の空気が読めない経験
発達障害である筆者がこれまでの人生、人間関係が比較的平和だったのに対して、現在小学校中学年の娘はというと‥
幼稚園から現在にかけてハラハラしっぱなしです‥。
なにせトラブルが多い。
とはいえ、娘も筆者と同様「人の気持ちを考える」のは得意な方だと思うんです。
特に娘は筆者よりも人に対する思いやりがあって、こういうことを言われると傷つくだろうなということは言わないように考えている姿が見られます。
でもなぜかトラブルが起こる起こる。
空気が読めていないな、暴走しているなと感じ始めたのは幼稚園の年長さんのころ。そこから数年。
たくさん悩んで、現時点で冷静に娘を見たところ、できることできないことは以下のような感じです。
できること
- 人の気持に寄り添える
- 人が傷つく発言はしない
- 優しい(親バカ)
できないこと
- 衝動をコントロールできなくて、やめてと言われてもやめられない
- 相手の顔色を伺うことができない
- 周りの空気が変わったことに気が付けない
- 相手との距離感がつかめない(べたべたしすぎてしまう)
これですね。
1~3について、娘の場合は、「楽しいからやりたい」という気持ちや衝動をコントロールできていないから起きてくる問題のようです。
特にお友達といるとき、楽しくて楽しくて自分が楽しいという気持ちを抑えることができないから、「やめて」と言われてもすぐに切り替えることができない。
自分が楽しくて軽い興奮状態だから、相手が嫌がっていることに気が付けない。という感じです。
お子さんが「やめて」と言っているのにやめない。という悩みをもっている親御さんは結構多いのではないでしょうか。
それについての体験談とカウンセラーの先生に教えていただいて実践している対応法、声のかけ方などをくわしく以下の記事でも書いていますので、ぜひ☺
逆に、相手に対してマイナスな発言をしたり、手が出てしまったり、物を貸せなかったり、などについては「相手が嫌がることはやらない」「かわいそうだからしない」という思いも理解も人一倍しっかり持ち合わせているんです。
言葉ではうまく伝えられないけど、なんかやたらしつこかったり、特徴4.のようになんか距離が近い人って正直うんざりしてしまいますよね。
娘はそういうパターンが多いんです。思いやりはあって、意地悪なわけではないのに、相手にうんざりされてしまう姿、親として切なくなってしまいます。
娘との日々:空気が読めない特性の影響
上記のようなことで、相手を怒らせてしまったり、相手が嫌がっていることに気が付けず、結果嫌がらせのようなことになってしまいトラブルに。ということもありました。
トラブルとまでいかなくても、遊んでいたお友達が離れていったり、疲れて相手の子がうんざりしている姿を見かけることが本当に多かったです。
それでも、現在小学校中学年の娘。
まだまだ課題は多いですが、低学年の頃に比べ、少しずつトラブルも減ってきて人との距離感やコミュニケーション、自分にあうお友達選びなど自分なりに理解していっている気がします。ここから思春期にかけて友達関係がどうなっていくのかが、いま一番心配です。
「空気が読めない」にどう向き合ってあげるか
そんな娘ですが、「空気が読めない」ことに対してどう向き合って対応してあげるのがいいのか。
ここ数年ほんと悩みました。人が大好きな娘が人に嫌がられている姿を見るのが切なくて、スクールカウンセリングで相談してみたり。
色々向き合ってみて、客観的に考えてみたりして。
そこでふと思ったことは、「空気が読めない大人」ってあちこちにいるよな。
完全に空気が読めない人になるのは無理なのかもしれないな。
でも、「なんか空気は読めないんだけど素敵な人」っているよな…。
今の娘は、自分の衝動がコントロールできていないことが問題なのであって、空気が読めないことはそんなに悪いことじゃない。
空気が読めないことをそこまで問題視せずに、「空気が読めないけど、嬉しいことを言ってくれる人」「空気が読めないけど優しい人」「空気が読めなくても憎めない人」になればいいのではないか。
そして、何人かのお友達とトラブルになっても、その都度、優しくて大切なお友達がいる娘。
お互いが優しくなれる相手と出会って生きていってくれたらいいな。
今の優しい娘にはその方向があっているな。と思いました。
衝動性をコントロールして相手が嫌がっていることをやめる。という問題についての声掛け方法は、上でも載せている「「やめて」と言ってもやめないのはなぜ?」で書いています☺
落としどころ
つらつら書きましたが、落としどころはというと…
「空気が読めないけど素敵な人」になればいい!
娘が周りの人に大切にされて生きていってほしいと願う親心。
人に大切にされるためには、人を大切にできる人間にならなければならない。
そのために、筆者たち大人が娘を大切に見守っていきたいです。
補足:空気が読めない特性の神経学的・心理学的背景
空気が読めない特性の神経学的・心理学的背景は複雑であり、まだ完全に解明されているわけではありませんが、いくつかの理論があるようです!
神経学的な側面では、脳の機能や構造に関する研究が行われています。
たとえば、前頭前野や額葉などの脳の特定の領域が、他者の感情や意図を理解する際に重要な役割を果たしているとされています。
発達障害においては、このような領域の発達や機能に障害がある可能性が指摘されています。
また、心理学的な側面では、情緒理解や社会的認知の障害が関連していると考えられています。
他者の感情や意図を理解するためには、適切な情緒理解能力や社会的認知能力が必要ですが、発達障害の人々はこれらの能力に課題を抱えていることがあります。
これは、非言語的なサインや微妙なニュアンスを理解することが難しいために、他者の気持ちや状況を正確に把握することが困難であるということが関係しています。
さらに、発達障害には情動制御の問題があります。
感情や衝動をコントロールすることが難しい(娘の場合はこれが大きい)ため、自分の行動が周囲の人々に与える影響を適切に判断することができない場合があります。
これにより、他者の気持ちや空気を読む能力に影響があるひとつの原因となっているようです。
発達障害の特性について、病院で聞いたり、本でも勉強したりしていますが、ネットでも厚生労働省などでから情報を得ることができます。
厚生労働省:「発達障害の理解のために」
この困りごとは、発達障害の特性だったのか!とわかるだけでも楽になることもあります(苦しくなる人もいるかもしれません)。
筆者は診断されて気が楽になった側です。特性じゃなくて、子どものあるあるだったり、個性だったりすることもあると思います。
まずは、困っていることがあれば、スクールカウンセラーや園や学校の先生に相談してみるのが一番ではないかと思います。(どうしても我が子は客観的にみられないので、気が付かない場合もあれば反対に気にしすぎである場合もあるようです)
診断の目安は、園や学校から勧められた場合もそうですが、「本人が困っているか」「親が困っているか」ではないかと個人的に思います☺
まとめ
今回は、発達障害の特性のひとつでもある「空気が読めない」。
娘は、ADHDの傾向が強いので、ASDの子との特徴とはまた違ってくるかと思いますが、落としどころの部分は通ずるところがあると思います。
危うい発言しちゃうけど、思いやりはあるよね。今それ言うところじゃない~って人あるけど親切だからね。ずかずかくるけど愛があって結局憎めないおばちゃんやおっちゃん。
みたいな実は空気が読めない愛すべき大人はたくさんいますよね。
万人に愛されなくっていい。
子どもたちに「わかってくれる人や愛してくれる人」をちゃんと見つけられる人になればいいですよね☺
今後も娘のエピソード、トラブル、悩み事など年齢に応じて出てくると思うので、過去のことも現在進行形のことも書いていこうと思います。
同じように発達凸凹のお子さんを育てている親御さんからの意見、こんなことあったよ、などなんでもコメントいただけたら嬉しいです。
コメント